田んぼのつくり方
ビオトープ田んぼのコンセプト
ビオトープの田んぼは、生きものファースト。収穫量を上げるための施肥や農薬散布などは一切行いません。
【稲作の営みの中で、人と生きものがどのように共生してきたかを学び、明らかにする】ことを基本コンセプトとしています。
田んぼをつくる仲間
ビオトープの田んぼは、種まき、田植え、稲刈りなど、一連の稲作作業を「シーオそだて隊」の皆さんと一緒に行います。シーオそだて隊は年間200人以上のご参加があり、根強いリピーターの方も多くいます。詳しくは桜環境センターHPイベント情報、さいたま市報をご覧ください。
耕作の方法
生きものファーストの田んぼづくりは、さまざまな試行錯誤を繰り返す中で、徐々にその方法を確立しています。これまでの様々な試みを経て、現在行っている耕作方法をいかにご紹介します。
農薬の不使用
ビオトープの田んぼは、様々な水草や昆虫、カエルや野鳥など、様々な生きもののすむ場所です。殺虫剤や除草剤などのいわゆる農薬は、一切使用しません。
肥料の不使用
ビオトープでは、水を循環しています。もし、肥料を与えた場合は栄養が過多の状態=富栄養化し、水質が急激に悪くなる恐れがあります。一方で、ビオトープには様々な水草や藻などの植物が世代交代を繰り返し、必要十分な有機質が得られていると考えられます。このため、現状、施肥はしていません。
6月田植え→10月収穫
近年、慣行農法では、9~10月の台風被害を避けることや、早く市場に出荷することで高値で販売することを目的に、全国的に稲作の時期が以前より早くなっています。場所にも寄りますが、さいたま市内の早いところでは、ゴールデンウィーク頃には植え始め、お盆過ぎには稲刈りが始まるほどです。
時期の「ズレ」は、稲作と共に生きてきた生きものにとって、少なからぬ影響があるものと考えます。そこで私たちの田んぼでは、昔ながらの時期に稲作を行うこととし、6月に田植えを、10月に稲刈りをして収穫することにしています。周囲の田んぼはこれよりも早く田植えと稲刈りを行いますが、昔ながらのリズムでの稲作が、ここを訪れる生きものにどのような影響があるか、検証していきます。
通年湛水
ビオトープの田んぼは、一年を通じて水を湛えたままにしています。一般的な現代の稲作では、夏前の時期に、稲がより深く根を張り十分に株を増やす=分蘖を促すために、一時的に水を抜く「中干し」を行い、稲刈り後~田植え前までは田んぼを乾かします。
一方、田んぼには様々な昆虫の幼虫など、水中でなければ生きていけない生きものも多くいます。このため、ビオトープの田んぼでは、多少の水位の上下はあるものの、稲刈り時も含めて年間を通じて水を貯めたままにする「通年湛水」を行っています。
古代米
ビオトープの田んぼでは、6月に田植えを行い、10月に収穫する、昔ながらのリズムで稲作を行う中で、どのような生きものがそこで共生するかを調べています。そして、このリズムで無理なく稲作を行うことができる品種として、古代米を植えています。古代米にも数多くの品種がありますが、「晩成(奥手)」の品種を選んでいます。
なぜ「自然の水辺」ではなく「田んぼ」なのか?
日本の田んぼ(水田)を含む里山は、生きものの宝庫です。人里離れた山奥などにある、手つかずの原生自然と比べても、野生生物の種類や数は里山の方が多いと言われています。
日本の里山の基本は、田んぼです。米を作る人の営みと、生きものたちの生活がうまく組み合わさり、そこには、人と生きものの「共生」がありました。
自然環境は、未来に渡って同じ環境が続くと思われがちですが、「植生遷移」に見られるように、環境は長い時間をかけて変化していきます。里山の環境は、その「中途」にある環境のため、人が手を入れることによって、はじめて維持されます。
例えば、畑では、同じ作物を植え続けると、作物がうまく育たなくなる「連作障害」が発生します。
一方で、水を張った水田では連作障害が起こりません。
水田は、同じ環境がずっと続く、奇跡の環境なのかもしれません。
田んぼは、浅く広い水面です。日の光を受けて、水は温かく、春には多くの生きものが卵を産みます。
田植えが行われたあとは、稲が隠れ場所となり、天敵から守ってくれます。
桜環境センターの田んぼでは、生きものと人の「共生」のあゆみを検証し、その結果を広く公表することを目的に運営しています。
無農薬・無肥料で機械を使わず、冬も水を湛える田んぼには、どんな生きものが来るでしょう。ビオトープと田んぼの成長を、見守っていただけると幸いです。
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