ビオトープのお仕事紹介7:ビオトープの未来予想図
地域のさまざまな生きものが暮らす、さいたま市桜環境センターのビオトープ。「いつも、ゆっくり自然観察ができるなんて、いいわね~♪」なんて言われることもありますが、さにあらず。地域らしい自然の再生を目指すビオトープでは、見えないところで、さまざまな管理作業を行っています。
なんてことを言うと「えっ、庭園みたいに管理をしているの?自然じゃなくて人工じゃない?」と言わたりもしますが、これもまた、さにあらず。より自然な状態にするためには、手をかけた管理がどうしても必要になります。
今回のシリーズでは、私たちスタッフが、ビオトープで行っているお仕事の一端をご紹介しつつ、まちなかに再生したビオトープではなぜ管理が必要か、そんな疑問にお答えしていこうと思います。
未来予想のお仕事
桜環境センターのビオトープは「農の営みとともにあった、地域の自然環境の再生」を目指しています。
ビオトープでは、動物園のように生きものを「飼っている」わけではありません。その生きものが生息するのに適した環境を徐々に整えながら、自らの意思で訪れるのを待ちます。
環境の整備は、一朝一夕に進むものではありません。例えば、ビオトープに植えた木は、徐々にしか大きくなりません。ある程度の大きさになると、ようやく十分な「木陰」ができ、緑陰のある水辺を好むコシアキトンボなどがやってきました。
ビオトープの「土」もまた、時間をかけてゆっくりと作られていきます。最初はむき出しの赤土だったところも、何年も草が生え、落ち葉が積もることを繰り返している中で、黒い土に姿を変えてきています。
一方で、予想とは違う展開になる場合もあります。土や水分条件が悪かったのか、池のほとりにあるハンノキは、しばらくの間、勢いがなく、あまり成長していませんでした。そこで、刈り取った草を根元に敷いたり、周りに土塁を作って水分が溜まりやすくなるよう、改良をしたところ、ようやくハンノキに勢いが戻ってきました。
田んぼの畦(あぜ)に生える草などは、特に管理作業と芽生えに深い関係がある一方、具体的・科学的には、まだまだ分からない事だらけ。どのようにしたら、どうなったか。よく観察をして、気候の違いも考慮しながら、毎年、試行錯誤を繰り返しています。
このように、よく観察しながら、状況に応じて管理方法を変えていく手法を「順応的管理」といいます。大きな方針は維持しながら、観察をベースに、状況に応じた管理を行うことが、ビオトープでは特に重要になります。
地球温暖化などで気候も変動する中、不確実な要素も増え、未来を100%予測することは、より難しくなっています。でも、かつてこの地域にあった里山が少しでも帰ってくる未来を予想しながら、ビオトープを育てていきたいと思います。
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