ビオトープのお仕事紹介5:池編
地域のさまざまな生きものが暮らす、さいたま市桜環境センターのビオトープ。「いつも、ゆっくり自然観察ができるなんて、いいわね~♪」なんて言われることもありますが、さにあらず。地域らしい自然の再生を目指すビオトープでは、見えないところで、さまざまな管理作業を行っています。
なんてことを言うと「えっ、庭園みたいに管理をしているの?自然じゃなくて人工じゃない?」と言わたりもしますが、これもまた、さにあらず。より自然な状態にするためには、手をかけた管理がどうしても必要になります。
今回のシリーズでは、私たちスタッフが、ビオトープで行っているお仕事の一端をご紹介しつつ、まちなかに再生したビオトープではなぜ管理が必要か、そんな疑問にお答えしていこうと思います。
池のお仕事
桜環境センターのビオトープには、大小の「池」があります。そこには10種類以上のトンボの幼虫や、カエル類の子ども・オタマジャクシ、水生昆虫などがすみ、特に、春~秋にかけては多くの生きものを目にしたり耳にしたりと、大賑わいになる場所です。
そんな池を維持するためには、水草刈りと、池底の泥の除去作業が不可欠です。
桜環境センターのビオトープの池に生えている主な水草は、かつてさいたま市の水辺によく生えていた、フトイ、マコモ、サンカクイなど、水の中からシュッと葉が伸びる、抽水植物です。こうした植物は、トンボの幼虫「ヤゴ」が羽化する際に使われたり、水草に産卵をするトンボがこのはにとまって産卵したりするのに使われます。また、水草の陰は水鳥などにとっても隠れ家になるほか、水草の間では鳥に食べられないよう、カエルなどが隠れたりするのにも使われます。
そんな抽水植物の多くは繁殖力が非常に強いのが特徴です。これは、台風や大雨の際に洪水で根こそぎ流されてしまっても、わずかに残った株がすぐに仲間を増やせるよう、抽水植物が獲得した能力の一つです。しかし、ビオトープのように、洪水などの「自然の営力」があまり働かない場所では、あっという間に水草が池を覆い、やがて陸地化し、池の環境は失われてしまいます。
そうならないよう、ビオトープでは自然の営力の代わりに、人の手で水草刈りや、泥の除去作業が必須となります。
水草刈りは主に夏、池底の泥の除去は、水生生物へのダメージが少ない冬に作業を行います。作業では、胸まである胴長靴や、肩近くまで手をすっぽり覆うゴム長手袋を着用して行います。刈り取った水草や泥は池から搬出するため、作業が終わるころには季節を問わず汗だくです。
来場した際、やたらと重装備なスタッフを見かけたら、それは池作業をしている真っ只中かもしれません。見かけたら、お気軽にお声がけください。池の生きもの情報や作業についてお話しできるかもしれません。
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