メイン画像

ビオトープのお仕事紹介2:草はら編

 地域のさまざまな生きものが暮らす、さいたま市桜環境センターのビオトープ。「いつも、ゆっくり自然観察ができるなんて、いいわね~♪」なんて言われることもありますが、さにあらず。地域らしい自然の再生を目指すビオトープでは、見えないところで、さまざまな管理作業を行っています。
 
 なんてことを言うと「えっ、庭園みたいに管理をしているの?自然じゃなくて人工じゃない?」と言わたりもしますが、これもまた、さにあらず。より自然な状態にするためには、手をかけた管理がどうしても必要になります。
 
 今回のシリーズでは、私たちスタッフが、ビオトープで行っているお仕事の一端をご紹介しつつ、まちなかに再生したビオトープではなぜ管理が必要か、そんな疑問にお答えしていこうと思います。
 

草はらのお仕事

 桜環境センターのビオトープでは、多目的広場に面した日当たりのよい場所に、高低に差を付けた、2つの「草はら」のゾーンを設定しています。ここには、草はらをすみかにする多くのバッタ類、これらをエサとする虫やカエル、鳥など、多くの生きものがやってきます。こうした草原は、私たちの身の回りで特に姿を消している環境の一つです。
 
草はらを維持するために必要なのは、「草刈り」。「草はらを維持するのに草を刈る」というのは、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、自然の仕組みを読み解くと、利にかなった作業なのです。
 
 まず、日本の何もない裸の土地を想像してみてください。時間が経つと、そこにはやがて、背の低い植物が生え始めます。時間が経つにつれ、光や土壌中の水分などの条件が変わるにつれて生える種が変わり、やがて皆さんが想像するような、風に草がたなびくような草はらになります。それをそのまま何もしないで放置すると、やがて鳥などによって運ばれた木の種も芽吹きはじめ、時間が経つにつれて林になり、やがては森に変化します。こうした、生えている植物の移り変わりを「植生遷移」といいます。
 
この植生遷移の1ステップである「草はら」を維持するためには、林に変化する手前での「草刈り」が欠かせません。
草刈りは、その時期や回数、刈った草を運び出すかどうかなどによって、維持できる草はらの姿が変わってきます。また、その年の天候によっても、傾向が変わる場合もあります。スタッフは、目指す草はらを作るためには、どんな草刈りがよいか、日々頭を悩ませながら、計画し、作業をしています。
 
皆さんの目の前に、ぴょん!とバッタたちが飛び出したら、それはバッタが生きる「草はら」があるから。そして、草はらの存在は、草刈りがあってこそ。そんなことに、思いを馳せていただければ幸いです。
 

利用案内Guidance

利用時間9:00~17:00
休館日月曜日
(休日の場合は、次の休日でない日)
電話番号048-710-5345
FAX048-839-6387